57.未来の道具で考える

私は自動車運転免許がありません。正確に言うと、二週間の合宿で大学の春休みにとって一度も運転していないゴールド免許があったのですが、それを更新し忘れて失効してしまったのです。

キャンピングカーでどこへでも行って大自然の中で車中泊した話とか、早朝に海へ行く話とか、そんなことを聞くたびに、私にはそんな人生はないのだと思ってきたのですが、最近は、自動運転が現実味を帯びてきて、10年後は自動運転でどこまでも行けるのかもしれない、と思うようになりました。

さらに、自動運転が現実になったら、どこに住むかということについてもそれほどの重きが置かれなくなるかもしれないとも思います。
寂しくならないようにと、東京のにぎやかな場所にこだわって住んできましたが、都内のマンションはどこもバカのように高くて、購入となるととても手が出ません。賃貸のままでは年齢を重ねてからも住めるかが心配です。若いうちに買っておけばよかったのかもしれないとがっくりきていましたが、移動がもっと自由になれば、住んでいる場所そのものももっとゆるやかに考えられるようになるのかもしれませんし、さらに、住まいそのものや家族というものが、単身高齢者フレンドリーになって、社会全体の価値観が変わるかもしれません。
10年前にこんな世の中を考えていたかと言えば、私は全くそうではありませんでしたから。

未来のイメージをするとき、今手の届く範囲で考えるとあまりにも選択肢がなくて暗くなってしまうことがあります。でも、未来には未来の考える材料が増えるのだと思えば、明るく思えてくるのでした。