銀河ヒッチハイク・ガイド(D・アダムス)

人間なら誰しも、地球って何? 宇宙って何? 一体私たち、どうしてこんな形をしてここにいる? という問いをもつはずです。テストで問1が超難問だった場合、そこに時間を費やすと0点になる可能性があるため、とりあえず飛ばして次にすすむ、ということをしますが、人生もそうで、まず、物心ついた幼少期に、その問いにぶつかるのだけれども、それに丸腰で取り組んでしまうと人生が終わってしまうので、まずは飛ばすように言われるわけです。でも、問い自体が消えたわけではないので、年に数回は娘と一緒になんなんだろうね? と話すことになります。私たちはどこかの実験室で培養されているのかもしれない、もっと巨大な世界の遊び道具なのかもしれない、とか。すると、この間、「ニュートン」で、宇宙はホログラムかもしれない、と、いう説が物理学者から出ているということが書かれていて、私たちの妄想がにわかに現実味を帯びてきて、それはそれで恐ろしくも思いました。SFとは面白くも恐ろしい世界です。

 面白くも恐ろしい人といえば、イーロン・マスクはそういう人ですが、彼が若い頃に読んでいて、現在の思想にも大きな影響を与えていると言われているのがこの本で、文庫を買ってしばらく持ち歩き、仕事の合間、ランチを待っている間や、帰りの電車の中で読んでいました。

 それで思ったのは、これはサラリーマンの昼休みに最適な本であるということです。組織の中でせっせと働いていると、昼休みなんかでは仕事のことを忘れられなかったりします。でもこの本を開くと、宇宙から私たちを眺めている目や、ケラケラとしたかわいた笑いが聞こえてくるような気がするのです。