18.ダメ人間になる

『深夜特急』のマカオの章で、「大小」というギャンブルについて書かれたとても心に残る記述があります。インチキがまかりとおるギャンブルの世界で、大負けをし、賢明な判断、すなわち損切りをしようとしたところで、何のために旅に出ているのか、問うのです。

「どうして行くところまで行かないのか。博才の有無などどうでもいいことだ」

と、激しい、凶暴な気持ちのまま、ギャンブルの現場へ出かけ、狂熱のレールに乗って天国と地獄を見て満足し、そこに自分はいつでも飛び乗れると知って、

「私はまたひとつ自由になれたような気がした」

というのです。

私も、40を過ぎた今でも、機会さえあれば、食料を買い込んで一歩も外に出ずに一日中ゲームをしたり、44話もある大河ドラマを一気見したり、することがあります。
栄養も偏って肌も荒れ、口内炎もできて、ひどい有様だけれど、それがどうしても必要だと思う期間が、確かにあるのです。