若干酸っぱくなっているワインのようなドラマ。
よくある不倫ものの勧善懲悪的な展開や、善人対悪人的構図、起承転結的な構成、などが全くなくて、ただひたすら、清々しいまでの、人間の不条理さ、不完全さがリアルに描かれ、登場人物が必死になればなるほど、笑いがこみあげてしまうようなブラックユーモアも感じられる作品。このあたりは、原作がイギリスだからなのかもしれません。
ハリウッド映画的な、テンプレに感情をはめ込んで、予定通りに揺さぶられて予定通りに感じる感情の起伏にはもう飽き飽きしてしまっている分、色々ツッコミしろはあって、冗長でくどいところもあって、それをゲラゲラ笑ったりもするのだけれど、突然つきはなされたときに、自分の中に、もっと見ていたい、という執着が生まれる、それこそが自分の愚かさを写す鏡になっているような、ただおいしいだけではない、舌が痺れてしばらくいいや、って思う日もあります。でも癖になってしまうドラマでした。