禁酒中の過ごし方|78.読書と場所のペアリングをする

旅に行くとき、持っていく本を選ぶことも楽しみの一つです。
たいてい、行く場所に合わせて2冊選びます。

一冊は、移動中や待ち時間に読める文庫で、これはあまりのんびりしすぎていないものがよいです。時間に合わせて動かなくてはならないので、頭を現実的なままにしておく必要があるからです。ビジネス書や新聞やサスペンスや現実的な旅行記など。突然「発車します」と言われても、すぐに行動できるようにしておきます。

もう一冊は、寝る前や海辺など自然の中で読むための、ゆったりしたものがよいです。これは、その世界にどっぷりはまれるようなSFや古典など。それも、なるべく薄めで、旅で読み切れてしまうようなもの、帰ってまだ残りのページがあったとしても、余韻を楽しみながら1日2日で読み切れてもらうものだと、うれしい。

この週末は、お休みをとって海辺で過ごすことにしたので、そのお供は『老人と海』(ヘミングウェイ)にしました。

滞在した宿は、顔を上げるといつも海が見えるような場所にあったので、作中で生き生きと描かれる海と生きる老人の描写を想像するのにもぴったりでした。今そこにないもの、こうであったらという悔いはそのまま認めながら、今あるものを燃やして生きる、その激闘の舞台がすべてを包み込む豊かな海であることに、自分の人生も励まされたような気がしました。
よい休日になりました。