「あきらめる」ということは若いころはタブーとされていました。
でも、大人にになると途端に正義となります。
『限りある時間の使い方』で示された「時間と戦っても勝ち目はない」というコンセプトは全世界の多くの大人に支持されました。
私は里中満智子先生の『天上の虹』という持統天皇が主人公の漫画が、
子供の頃から大好きでした。
でも、途中で連載が滞ってしまい、しばらく読めずにいました。
ところが数年前に最終巻が出たと知り、読んでその内容が強く印象に残りました。
読んだことがない方がいたら申し訳ないので詳しくは述べませんが、
主人公の最期が、
「何もかもやり切った。私は悔いはない。人生ありがとう」とか、
「あいつめ……絶対に許さぬ。あいつの首をとって私の墓の横に置け」とか、
大河ドラマでありそうな最期では、全然なくて、
ああきっと私もこんなふうに終わるのだろうな、と思える、とても身近な終わり方なのです。
死ぬまで何かを追いかけて、その途中でやりきれずに突然こと切れるのが人生。
でも、死ぬまで追いかけるほどの何かがある人生なのなら、それは良いことだと思うのです。