小学生に戻りたい。
不惑を過ぎた私の願いはこれに尽きます。
あの頃は、時が経つのがゆっくりでした。
日々が彩りに満ちていました。
金管楽器を一斉に合わせたときの音。図書館の匂い。ガラスのペンダントヘッド。
まっさらなノートに秘密の小説の主人公の名前を鉛筆で書いたときの胸の高鳴り。
毎日少しずつ、この世のおもしろいもの、ステキなものが増え、人生に彩りが増していました。
ところが。
二十歳を過ぎてお酒を覚えてからの人生をふり返ってみると、
リラックスする時も、ハイになる時も、そこにはいつもアルコールがあり、
色々な人と色々なシチュエーションで色々な種類のお酒を飲んでいるはずなのに、
その色はどこか似ています。
新しい絵の具を使っているはずなのに、
いつも同じ色が少量混ざっているような気がして新しい絵が描けないのです。
私には小学生の娘がいます。
彼女が、何もない一日の終わりに、
商店街を「この世が大好き!」とスキップして歩いているのを見て、
私は、ああこうなりたい、と心底思いました。
私もそうだったはず。
毎日と、新鮮な気持ちで出会い直していたはず。
毎日が、楽しくて仕方なくて満たされていたはず。
お酒を飲まなくても。
大人が「ビール片手に〜しよう」「まあ、酒でも飲みながら〜しよう」というとき、
〜に入る行動だけでは物足りないかのような、どこか自信のなさを感じさせます。
人生折り返し地点。自信を持った時間の使い方がしたいと思うようになりました。
それで、お酒なしでも(ついでに言えばお金があまりなくても)
大人がこの世に酔うにはどうすれば良いのか?
そうした情報が集まる場を探せなかったので、
つくりたいと思いました。
きっとどこかにいるであろう諸先輩方、ご指導いただけますと幸いです。
初心者ではございますが、よろしくお願いします。
イラスト/ダーヤマ